書評

2017年10月11日

亡国から再生へ A Nation Without Ethics

  • 書籍名: 亡国から再生へ A Nation Without Ethics
  • 著 者: 高杉 良
  • 出版社: 光文社

 参議院選挙後の政治は迷走が続き、このままでは世界の中で日本はどんどん存在感がなくなっていく懸念すら感じます。

 一方、国内では経済の活況が続いていると言われているものの、国民には全くその実感はなく、まして地方経済の惨状は目を覆うばかりと言えます。小泉首相、竹中金融財政担当相コンビによる改革とは何だったのでしょうか?

 アメリカでは「トリクルダウン」と言う経済用語があり、中央そして大企業が良くなれば自然と雨が樋をしたたり落ちるように地方と中小企業も良くなると言う政策です。しかしそれを行った結果、アメリカでは今や1割の国民が富の5割を占めるとも言われている大格差社会になっています。小泉竹中改革はそれを日本で行い、結果我が国もこのような格差社会となってしまったのではないでしょうか? 江戸時代中期に疲弊した米沢藩を立て直した藩主上杉鷹山は改革が社会的弱者へひずみが行くことを思んばかり、幼児・老人・身体障害者等へ先に手当をしてから行ったと言われています。小泉、竹中改革には良い面もあったのかも知れませんが、社会のセーフティーネットを張らないで行った責任は重大であると私は考えます。

 現政権内では、ようやくこのことに気づき若干の対応をし始めているようには感じられますが。

 このように私が考えていたところ、高杉良氏(「不撓不屈」の著者)が同改革批判の書を出したのを知り、我が意を得たりと今回の本に選定しました。

 ペーパーバックスの装丁なので若干お渡しするのを躊躇しましたが、内容は義憤に溢れた素晴らしい内容だと思いましたので決定しました。

 是非、お読み頂ければ幸いと存じます。