所長 深田一弥の異見!

2020年10月6日

菅政権への期待と不安

 まさかとは思っていたが、安倍首相突然の健康不安で、菅義偉官房長官が第99代の総理大臣となった。鈴木善幸以来の久しぶりの東北出身の総理大臣が実現した。鈴木、菅、ご両人に言えることは、本人がどう思っていたかは知らないが、世間の下馬評に殆ど挙がっていないのに、突然トップの座が転がり込んできたのは、運が良かったと言えるのだろう。菅首相は、東北人として、また彼が総務大臣時代に、地方税務行政について直接提言した結果を実感した者として喜ばしいことだ。

 新内閣の陣営は、代わり映えがなく清新さはないものの、ベテランが多く危なっかしさは感じられない。菅首相は、就任の挨拶で「安倍政権の政策の継続と、国民から信頼される政治を目標に、当たり前のことを大胆に実行する」ということを明言した。しかし、安倍政権政策の成果はどうか?アベノミクス第一の矢の金融政策は、日銀券の大量発行で円安株高にはなったものの、目標としたデフレ脱却と経済成長率2%は遙か彼方でその影すら見えない。むしろ国民の格差拡大というネガティブ面の方が目立ってしまった。

 北方領土はプーチンにしてやられ、拉致は全く進んでいない、韓国との関係はむしろ悪化、習近平に忖度し中国の観光客を止めずにコロナ感染拡大、尖閣への侵犯は止まらない。だから前政権の継続よりも大胆に政策を変更していく必要があるのではないか?自分が目指す社会像は「自助、共助、公助そして絆」と述べたが、地方自治体の首長の言ならともかく、一国のトップにしてはモノ足りなさを感じる。コロナウイルス対策が急務で、さらに経済再生に力を入れるとのことだが、その経済対策が、アベノミクスの継続では、期待はできない。

 省庁の縦割りを正すことや、コロナウイルス関連の行政からの補助金等の申請で、いかに我が国行政のIT化が遅れていたかを痛感したことから、デジタル庁の新設などは時宜を得た政策と思われる。前の外務大臣の河野太郎を行革担当大臣にして、自分は作る方だが、河野にはぶち壊すことをしてもらうとのことだ。河野大臣は、早速、ハンコ行政をぶち壊すと宣った。確かに、行政の無駄なハンコは見直さなければならないが、そのハンコを商いにしている人への思いやりは感じられない。確かに無駄を省くのは経済的には正しいが、一見無駄と思われる事にも歴史や文化もある。思いやりのない行政では決して国民を幸せにはしないと思う。

 最近、現政権で問題とされているのは日本学術会議会員の任命であるが、何と同会議が推薦した者の内、どちらかというと左よりと言われる6人が任命から外されたと言う。この6人は、何れも安倍政権時代に反政権の論陣を張った学者達のようだ。確かに同会議は、国民の税金がつぎ込まれ、しかも内閣総理大臣が任命権を持つ。だからと言って政権に楯突く論を吐く者を除外するとはあまりに現政権は鷹揚さがないのではないか?

 トップに付く者は、自分に強硬に反対する者の意見も一応聞いて見るくらいの度量が必要だと思う、特に苦労人を自称する菅氏にとっては大事なことだろう。任命除外にしたのは、自民党議員の大多数が会員で、安倍政権を強力に支えていた右寄りと言われるある団体に忖度したのではないかと想像する。確かに今、我が国の周辺はきな臭い。だから国防は大事なことだ、しかし、だからと言ってかつてのような軍靴の足音が聞こえ出すのには、多くの国民は望んでいない。